続、続、CIRCUS MONEY

音楽を聴いていて「歌詞」というものの意味を時々考えることがあります。
ロックンロールが20世紀を代表する文化になったのは「歌詞」による表現手段の拡大が大きく貢献していたからだと思っています。
実際、常にロックを牽引してきた英国において言語による「皮肉」というものがロックに大きく影響してきました。

そもそも日本語歌詞の音楽をあまり聴かない私にとって日本語以外の歌詞は既に言語ではなく、単なる音声として捕らえているのかもしれません。
歌詞のない所謂インストと言われる音楽と歌詞のある音楽を比べた場合、より表現者の意図(そもそも音楽には表現者による意図があるという前提で)に近づけるか、という問題は非常に興味があります。

そんな「歌詞」という視点で音楽を聴いた場合、最も難解で摩訶不思議な歌詞を書くのがウォルター・ベッカーでしょう。
STEELY DANでの毒々しい歌詞、皮肉に満ちた歌詞、難解な歌詞、これはベッカーによるものだと言われています。

日本語をはじめ語学が苦手な私にとって、日本語訳というのはかなり重要なものになります。
そういうわけで年末に買ってしまいました。
ウォルター・ベッカーの最新作、「CIRCUS MONEY」の日本盤です。
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CIRCUS MONEY/WALTER BECKER
(2008年作品)

1.DOOR NUMBER TWO
2.DOWNTOWN CANON
3.BOB IS NOT YOUR UNCLE ANYMORE
4.UPSIDE LOOKING DOWN
5.PAGING AUDREY
6.CIRCUS MONEY
7.SELFISH GENE
8.DO YOU REMEMBER THE NAME
9.SOMEBODY'S SATURDAY NIGHT
10.DARKLING DOWN
11.GOD'S EYE VIEW
12.THREE PICTURE DEAL
13.DARK HORSE DUB(Bonus Track)

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→いつまで引っ張るつもりや!
と自らにツッコミ入れながら、やはり新春一発目はSTEELY DAN関係で行きたいと思います。

年末に思わず買ってしまったCD、そう、昨年2回もネタとして使用したウォルター・ベッカーの最新作「CIRCUS MONEY 」の日本盤です。
発売日に輸入盤を買っているので、これで2枚目の購入。
購入の動機は①当然STEELY DAN関連は全て買う!②日本語訳に期待!③ボーナストラックに期待!という3点でした。

さて、日本語解説を読んでみて驚きました。
今回の作品はベッカーの捻くれた歌詞に注目と思っていましたが、注目すべきはプロデューサーのラリー・クラインです。
初めてベッカーのソロが録音されている!とのニュースを読んだとき、確かにラリー・クラインの名を目にしたのですが、それほど印象に残っていませんでした。
最近の作品はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが交互にそれぞれの作品をプロデュースし、「第三の男」としてのプロデューサーに注目していなかったからだと思います。

しかし、改めてラリー・クラインの経歴を見ると、70年代にフレディ・ハバードなどと共演しているジャズ・ベーシストのラリー・クラインじゃないですか!
ここを見落としているなんて全く持ってジャズのベース弾きとして失格ですね(涙)
私はウォルター・ベッカーは隠れたギターの名手(神がかり的ヘタウマ)だと思っていますが、それ以上にベーシストとしての手腕を評価しています。ラリー・クラインもベーシストということもあり、お互いいい仕事が出来たのかもしれません。
二人の出会いは詳しく記載されていませんが、2005年にラリー・クラインがプロデュースした作品にベッカーが参加したことに始まったそうで、3年以上の付き合いであることは間違いないようです。

この解説を読んでから凄くベースラインに重点を置きながらこの作品を聴いていました。
この作品を聴いていると逆にSTEELY DANの中でベッカー色が強い曲はあれとあれだな・・・と考えてしまいます。
特に「レゲエ調」と評される今回の作風は「ハイチ式離婚」や「バビロン・シスターズ」、ベースラインに至っては「父親の嫌いなニューヨークシティ」や「ヘイ・ナインティーン」あたりと類似しているように感じました。
(特に「父親の嫌いなニューヨークシティ」のベースラインはベッカーがよく多様するラインですね)

ベースラインで常々唸るのは2.DOWNTOWN CANONと3.BOB IS NOT YOUR UNCLE ANYMORE です。
この曲は「グラマー・プロフェッション」でもそうでしたが「小節の頭をベースが弾かない」という恐ろしいベース・ラインになっています。
「グラマー・プロフェッション」ではその代わりに鍵盤がしっかりコードを押さえていていたのでそれほど問題ないのかもしれませんが、2.DOWNTOWN CANONでは小節の頭の空白が大きすぎます。
(実際は少しミュートしているように聞こえますが)
このあたりはベッカーのアイデアなのでしょうか。
「Aja」のメイキングで「Peg」のリズムのシンコペーションについてもベッカーが言及していたことを思い出しました。
「和声的」にはフェイゲンが一枚上手かもしれませんが、「ヴルーヴ」についてはベッカーのほうが上手なのでは?とものすごくベッカーの評価が私の中で上がっています^^;

と、少し話が飛躍しすぎました。
解説は渡辺亨氏でした。一番印象に残っている単語は「引き算の美学」です。
ベッカーの作品はフェイゲンの作品に比べて非常にシンプルに感じるのですが、この作品ではベッカーの音世界がかなり昇華しています。このシンプルさ、癖になってしまいました。

最後に日本盤についていたベッカーからのコメントが掲載されていたお茶目な写真を載せて終わりにします(笑)
悔しいけど日本盤買って良かったです^^
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by deaconred | 2009-01-05 23:29 | Rock(00年代)

CD紹介から楽曲紹介に変更してしまっているブログ。


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