11 TRACKS OF WHACK

90年代をリアルに体験しながらも90年代の音楽がロックにとってなんだったのか?というテーマは非常に重要な問題だと思います。

最近、改めて90年代の音楽を聴くとその意味というか、その趣向についてなんとなく見てきた感じがします。

自分のCDの棚を眺めて、あ!この作品も90年代だったなぁ~なんて楽しんでいたらこんなCDをすっかり忘れていました。

なんでも現在、2枚目のソロ・アルバムを録音中だとか。

久々に聞いてみるとかなりの収穫がありました!

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11 TRACKS OF WHACK/WALTER BECKER
(1994年作品)

1. DOWN IN THE BOTTOM
2. JUNKIE GIRL
3. SURF AND/OR DIE
4. BOOK OF LIARS
5. LUCKY HENRY
6. HARD UP CASE
7. CRINGEMAKER
8. GIRLFRIEND
9. MY WATERLOO
10. THIS MOODY BASTARD
11. HAT TOO FLAT
12. LITTLE KAWAI

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→STEELY DANの一人、WALTER BECKERの初ソロ・アルバムです。

発売当時、これほど情報化社会でもなかったので始めて聴いたときはBECKERってこんな声なんだ!歌ヘタクソだ!と感激したのを覚えています。

80年の活動停止後、FAGENはソロ・アルバムを発表するなど活動がありましたがWALTER BECKERはバカンスで訪れたハワイが気に入りハワイへ隠居。その後、プロデュース業をいくつかこなしていました。
二人が再びコンビを組むのは90年代初め頃で、その活動の中からFAGENのセカンド・アルバムをBECKERがプロデュース、そしてBECKERのソロ(本作品)をFAGENがプロデュースするという形を経て2000年にSTEELY DANとしての新作を発表することになります。

70年代後期のSTEELY DANは実質的にバンド形態が瓦解し、二人のプロジェクトのようになっていました。その役割はFAGENがアイデアを出し、BECKERが発展させ、FAGENが音楽的肉付けをしていたようです。
一足先に82年に発売されたFAGENのソロ・アルバム「THE NIGHT FLY」でその音楽性の高さからBECKER不要論が世論に出たようですがFAGENはBECKERなしで曲をまとめるのは大変な作業だったと振り返っています。

2000年代にはSTEELY DANの作品2枚とFAGENのソロ1枚が発表されていますが、STEELY DANの2枚とFAGENの1枚を比べた場合、FAGENの作品のドラム、ベースの単調さが耳に残るのです。
先に発売された「AJA」のDVDではベースラインやリズム・トラックについてBECKERから発言するシーンが目立ったことからSTEELY DANのリズムトラックやベースラインのアイデアについてはBECKERが大きなところを占めていたのではないかと感じています。

そういう視点から改めてBECKERの作品を聴いてみるとなんともSTEELY DAN作品の「核」となる部分のみを表現化したような音楽に感じるのです。この楽曲にFAGENが肉付けをすればSTEELY DANになりそうな感じがします。
4. BOOK OF LIARSは70年代にFAGENとともに書いていた曲でこのアルバムの中でも最もSTEELY DANぽい曲です。唯一のライブ・アルバムにも収録されているので馴染みのある曲です。クレジットはFAGENが辞退してBECKER一人になっています。

それにしても全体的にBECKERのヘタウマなギターが炸裂です。そのプレイの特徴はレイドバックしたタイム感で、ブルース系フレーズを弾くときにはピタリとはまりますね。
かつて「ギターでブルース以外の音楽を演奏しようとする人を理解できない」と語っていただけにブルースにはうるさいのでしょう。

久々に聴くとFAGENの新作と対比してその「核」となるべきパルスをBECKERが出していたと感じ、やっぱり二人は一緒に仕事をするほうがいいなぁ~と感じました。

ちなみにタイトルは「11」なのにアルバムは全部で12曲。
単純に数え間違えたのさ、とBECKER。どこまでもヒネクレ者です。
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by deaconred | 2006-09-20 10:22 | Rock(90年代)

CD紹介から楽曲紹介に変更してしまっているブログ。


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