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WE GET REQUESTS

自分で自分の性格を分析すると「メジャー」になるものに興味を示さないという捻くれた性格があると気づきます。
なんだか好きだったアーティストも売れ出すと聞かなくなるというか・・そういった感覚です。

そういう捻くれた性格を持っていると今更聴けない、今更買えない「名盤」と言うものが出てきます。
ダメですね・・・そういう性格。

名盤と呼ばれる作品は名盤たる所以があって名盤と呼ばれるわけで、そこから眼をそらしてはいけないのでしょう。

今日も久々にこんな名盤聴いていたらやはり名盤は色あせないなぁ・・・と再確認。
何度も聴いたはずの作品のはずが聴けば聴くほど発見があるものです。
名盤とは繰り返し長く聴ける作品を指すのかもしれません。

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WE GET REQUESTS/OSCAR PETERSON
(1964年作品)

OSCAR PETERSON:pf
RAY BROWN:b
ED THIGPEN:ds

1.QUIET NIGHTS OF QUIET STAR
2.DAYS OF WINE AND ROSES
3.MY ONE AND ONLY LOVE
4.PEOPLE
5.HAVE YOU MET MISS JONES
6.YOU LOOK GOOD TO ME
7.THE GIRL FROM IPANEMA
8.D AND E
9.TIME AND AGAIN
10.GOODBYE J.D.

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→Jazzを聴かない人でもなぜか知っているOSCAR PETERSONのご機嫌な1枚。
歴史的名盤にしてJazz入門には最適の1枚でしょう。
JazzはハッピーなJazz、難解なJazz、エンターテイメントなJazz、ファンキーなJazzなど色々な表情を持った音楽だと思うのですが、この作品はそんなJazzのあらゆる魅力が楽しめる1枚です。

OSCAR PETERSONはトリオ形式で最もその魅力を引き出すことのできるピアニストで、RAY BROWNとED THIGPENを迎えたこのトリオはJazz史上最高なピアノトリオの一つと言えるでしょう。
特にOSCAR PETERSONのバックを支えたRAY BROWNのベースはとにかく素晴らしい!の一言です。
基本的に低音フェチなのでJazzを聴くときもRockを聴くときもベースを中心に聴いてしまうのですが右手の人差し指1本で紡ぎ出されるポーンという輪郭のはっきりした音は私の理想とするベース音で、RAY BROWN以外でこんな音を出せるベーシストは他にいません。
その音は軽快でありながら重く、サスティーンも美しいまさに「木」が鳴っている理想の音で、それに加えてピッチ、フレージング、スイング感、タイム感、ベース・ソロ、全てが完璧です。

曲はスタンダード・ナンバー中心の選曲で親しみやすい作品です。
久々に聴いて感心したのはBossaNovaの名曲1.QUIET NIGHTS OF QUIET STARと7.THE GIRL FROM IPANEMAのタイム感です。
そもそもJazzとBossaBovaは異なった音楽ということは置いておいてもここでのタイム感は真にBossaNovaのリズムといえるのではないでしょうか。
ただ、ベースも1度と5度を弾くだけでなくときに2拍3連やオクターブ、経過音としてのdimなど勉強になるものばかりです。
ピアノもお得意の高音域でのアドリブ展開でOSCAR PETERSON節炸裂です。メロディをフェイクしたフレーズがご機嫌ですね。

Jazzは即興が命でなかなか同じメンバーでの活動が少ない中、OSCAR PETERSON、RAY BROWN、ED THIGPENのコンビは非常にいいバランスのコンビです。

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by deaconred | 2006-02-28 23:00 | Jazz

黒船

キリンラガーの06年テレビCMの発表が29日、横浜市内で行われた。今CMは「発売110年を超えても愛される」をテーマに、永遠に色あせない、いいモノがテーマ。日本のハードロックバンドの先駆として、70年代に活躍した「サディスティック・ミカ・バンド」を起用し、ボーカルに木村カエラ(21)を迎えて17年ぶりに再結成することになった。

 CMでは、木村のボーカルで同バンドの代表曲「タイムマシンにお願い」を披露。木村のボーカルは、加藤和彦(58)が決めたそうで「歌がうまくてインテリジェントで、ぶっ飛んでるから」という。木村も「すっごい歌いやすかった」と満足そう。CMは2月25日から放送。


このCMを最近見ました。
正直、ファンとして辛いです。やめてくれぇぇ~
そんなわけで本元聴いて癒されます。

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黒船/サディスティック・ミカ・バンド
(1974年録音)

1.墨絵の国へ
2.何かが海をやってくる
3.タイムマシンにおねがい
4.黒船(嘉永6年6月2日)
5.黒船(嘉永6年6月3日)
6.黒船(嘉永6年6月4日)
7.よろしくどうぞ
8.どんたく
9.四季頌歌
10.塀までひとっとび
11.颱風歌
12.さようなら

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→サディスティック・ミカ・バンドは本格的に海外でも発売された日本初のロック・バンドです。
当時のメンバーは加藤和彦、ミカ、高橋幸宏、高中正義、小原礼という日本のロックシーンを引っ張ってきた大物ばかり・・・今見ると凄いメンバーですね。
さらにこの作品はROXY MUSICやPINK FLOYDなどを手がけた名プロデューサーCHRIS THOMASをプロデューサーに迎え、とても日本のロックとは思えないほど質の高い音楽に仕上がっています。

この作品は本格的に海外で発売された日本のロックにふさわしい(?)コンセプトでテーマにしているのは明治時代のモダンな日本。文明開化の匂いがします。
中のアートワークも明治時代の日本をテーマに長崎の出島や浮世絵などが描かれ非常にモダンです。CHRIS THOMASも武士の格好をしています(笑)

曲は歌とインストが半分ぐらいで70年代らしくFusionからの影響も感じられますね。ギターの音色が70年代らしくて好きです。
歌では3.タイムマシンにおねがいが有名です。木村カエラもこの曲を歌っていましたね。
ただタイムマシンに乗っていろんな時代に行くという歌ですが、ジュラ紀から明治維新までとなかなか面白いですね。
個人的に好きなのは「日曜日」について歌っている8.どんたくです。
かつて「日本資本主義の精神」という本で勤勉と佛教の関連性ついて読んだのですが、江戸時代の日本人って休みなく働いていたわけで明治時代に入ってきた「日曜日」という概念は新しかったのでしょうね。
この曲を聴きながら日曜日が日本に導入されて良かった~と常々感じています(笑)

なんだか木村カエラのおかげで彼らのテンションも上がりこの勢いでツアーだ!と意気込んでいるらしいですが、まぁファンとしては非常に複雑な心境ですね。
皆様、是非オリジナルのミカ・バンドを聴いて下さい♪

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by deaconred | 2006-02-26 23:30 | Rock(other)

THE REAL McCOY

ピアノという楽器は実に不思議な楽器で演奏者によってその表情を無限に変化させます。

Jazzを聴くときにピアニストが誰か?ということは私にとって非常に大切で、好きなピアニストが参加しているだけで買ってしまったCDは何枚もあります。

今日、聴いているピアニストは独特の和声感覚で「宙」に浮いた感覚がとにかく素晴らしいですね。

本当に「REAL」な彼のピアノはこの作品で聴く事が出来ます。

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THE REAL McCOY/McCOY TYNER
(1967年録音)

JOE HENDERSON:ts
McCOY TYNER:pf
RON CARTER:b
ELVIN JONES:ds

1.PASSION DANCE
2.CONTEMPLATION
3.FOUR BY FIVE
4.SEARCH FOR PEACE
5.BLUES ON THE CORNER

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→JOHN COLTRANEの黄金カルテッドを支えたピアニストが名門ブルー・ノートへ移籍して録音した名盤です。

JOHN COLTRANEが黄金カルテッドの活動を停止させ、途方に暮れていたMcCOY TYNERに救いの手を差し伸べたのがブルー・ノートと言うめぐり合わせだけでも十分歴史的名盤だと思うのですが、その期待以上にMcCOY TYNERのピアノ、コンポーズが素晴らしく泣けてきます。

McCOY TYNERのピアノというのは繊細にして剛胆であり、いかなる偉大なジャズメンの中でも自分の音を出せるピアニストでそのキラキラとした和音と独特と和声感覚にはいつも驚かされます。
勿論、その音楽の背景にはJOHN COLTRANEの影響が強いのでしょうが本作品はいい意味でJOHN COLTRANEの「呪縛」から解き放たれて「REAL」なMcCOY TYNERに触れることができるでしょう。

力を貸したブルー・ノートの期待はメンバー構成を見れば一目瞭然で当時、新主流派のテナーとして名の売れていたJOE HENDERSONをはじめ、今でもベース界の頂点を行くRON CARTERに黄金カルテッドをともにしたELVIN JONESと一流のメンバーが揃っています。
特に気の知れあったELVIN JONESのシンバル・ワークが素晴らしく、独特のピアノに独特なスイング感が加わり実に斬新で革新的です。

とにかくMcCOY TYNERのオリジナルである1.PASSION DANCEと3.FOUR BY FIVEが素晴らしいです。67年という年代からも分かるとおり若干の閉塞感が漂い始めた時代にもかかわらず生命力溢れる楽曲で純粋な「PASSION 」を感じますね。
同じくブルー・ノートらしいデザインのこのジャケットも非常に力があり好きです。やはり名盤には素晴らしいジャケットが似合います。

因みにいろいろ調べてみるとタイトルの「THE REAL MCCOY」とは、「こりゃ、本物だ」という時によく使う米俗語であり、洒落になっているそうです。
このあたりもブルー・ノートらしいですね。

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by deaconred | 2006-02-23 23:30 | Jazz

THE MAN MACHINE

このブログを始めるにあたって悩んだのはカテゴリー分けでした。
音楽のジャンルというのは聴き手が判断することなので一概に言えないと思っていて簡潔に分類するには時間が掛かるかもしれません。
特に苦労するのは「テクノ」と呼ばれるジャンルでこれにはアンビエント、トランス、ハウス、テクノ・ポップ等々いろいろなジャンルが入り交ざっておりジャンル分けが難しいと思います。
ここでは基本的にそのような音楽を「Electoronica」と表現して分類していきたいと思います。
そんな「Electoronica」の中ではずせないグループを今宵は聴いてみましょう。

人間解体。

人間が演奏するテクノとは最高にクールです。
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THE MAN MACHINE/KRAFTWERK
(1978年作品)

1.THE ROBOTS
2.SPACELAB
3.METROPOLIS
4.THE MODEL
5.NEON LIGHTS
6.THE MAN MACHINE

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→KRAFTWERKの代表作にしてエレクトロ・ポップの原点です。邦題はなぜか「人間解体」でKRAFTWERKはこの作品でついに言ってしまいます。

「We are the robots」(笑)

いきなり私見で申し訳ないですが、西洋哲学の大きな流れの一つに「個人の捉え方」と言うものがあります。その思想はルネッサンス以降発展していくわけで、理性をもってして人間個人、社会自身、国家自体が自由になれば人間は幸せだ!と考えられてきました。つまり体制から自由を奪うという事が歴史を動かす原動力となっていたわけです。
しかし、実際にその思想が現実的になった20世紀前半ってのは戦争しか起こらなかったわけで、19世紀の夢は20世紀の悪夢だったわけです。

今でも個性とか個人という問題は非常に難しい問題ですが、その西洋の哲学の流れを否定した哲学ってのが20世紀に現れます。それこそ「ロシア構造主義」です。

この思想は平たく言ってしまえば所詮人間なんてものは社会や世界を構成してしまう「一部品」に過ぎないって考え方で「個人」も「個性」も無意味で関係ないわけです。
KRAFTWERKのメンバーの思想というのは詳しくは知りませんが(原発には反対ですね)この構造主義的思想には多少の影響を受けていたようです。
KRAFTWERKの言う「マン・マシーン」思想というのもロシア構造主義から影響を受けていて人間の欠点を機械が補い、機械の欠点を人間が補う事で「完全な」システムを作り上げるというものでした。特に航空産業においてマン・マシーン思想は浸透していったようです。
余談ですが、そのマン・マシーンを追求した結果が「自転車」って言うところがKRAFTWERK(というかRALF HUTTER)らしいです。

この構造主義とマン・マシーンという視点はこの「人間解体」を聞くうえで非常に重要なファクターだと思います。

音楽的にはこれほど無機質な音が人間臭いなんて!という音。とにかく音数が少ないのに驚きです。このアレンジの巧こそこのアルバムの最大の魅力だと思います。すべての音に意味がありすべての音が共鳴しあっています。

ジャケットからもロシア構造主義を意識してます。もう少し美術的な視点から見ると構造主義から派生したダダイズムの影響がロゴにも見受けられると思います。

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by deaconred | 2006-02-22 23:30 | Electoronica

BLUE

時々、偏頭痛に襲われます。
明らかに原因は肩や首がこって血液の流れが悪くなるからだと思われます。
そんなときは素敵な歌声を聴きながら足裏マッサージなどしてリラックスするのが一番です。

と言うことで今晩は彼女の歌声に耳を傾けてみます。
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BLUE/JONI MITCHELL
(1971年作品)

1.ALL I WANT
2.MY OLD MAN
3.LITTLE GREEN
4.CAREY
5.BLUE
6.CALIFORNIA
7.THIS FLIGHT TONIGHT
8.RIVER
9.A CASE OF YOU
10.THE LAST TIME I SAW RICHARD

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→JONI MITCHELLの4枚目のアルバムにして「弾き語る」JONI MITCHELLの最高傑作です。
この作品以後、彼女の作品はよりバンド形態の音つくりになっていきます。
参加しているミュージシャンはSTEPHEN STILLS、JAMES TAYLOR、SNEEKY PETE、RUSS KUNKELの四人だけで声、楽器、がストレートに録音されており、空間を感じます。

JONI MITCHELLと言えば「恋多き」アーティストというイメージがあります。
常に誰かに恋をして常に誰かを愛し、愛されその感情をストレートに音楽にぶつけていきます。
この作品の頃はJAMES TAYLORと恋愛関係にあり、この作品にJAMES TAYLORが参加しているのと同様に彼の代表作でもある「MUD SLIDE SLIM AND THE BLUE HORIZON」にJONI MITCHELLが参加しています。
全体的にフォーク・ロック的な要素が感じられるのですが、この辺りもJAMES TAYLORの影響でしょう。
JAMES TAYLORは1.ALL I WANT、5.CALIFORNIA、8.A CASE OF YOUの3曲でギターを弾いていますが、愛聴すべきは1.ALL I WANTでしょう。
この曲ではJONI MITCHELLもギターを弾いており、二人のギターのバランス、リズム、ハーモニーが素晴らしいですね。
JONI MITCHELLの歌も絶好調でハミングから一気に高音域に駆け上がるコーラスが好きです。

この作品が発売されてからもう何十年も経ちますが、最初の一音から最後の一音まで生命力に溢れ生々しい彼女の感情が詰まっていることに驚きます。
また、ギターもピアノを交互に弾き語るという構成になっており、彼女の歌う声に完全に同調しているギターの音もピアノの音もキラキラと生きています。
これほど「感情的な」音が楽器から出ていることに感動ですね。

歌詞は前述のように恋愛に関する彼女のストレートな歌詞が多いですが、カリフォルニアへの憧れ(というか望郷?)を歌った5.CALIFORNIAでは最後の歌詞に「新聞で読む故郷のニュースは事故の戦争の話題ばかり」とベトナム戦争について触れており、少し意外に感じると同時にそんな時代の歌なんだ・・と再確認させられます。
個人的に気に入っている歌詞は5.BLUEの「ブルー、歌は刺青のよう」という歌詞でこの曲とこの作品のすべてを語っていると思います。
一人の女性のストレートな感情と音楽・・・それこそ「BLUE」というタイトルにふさわしい10曲ですね。

BLUE、SONGS ARE LIKE A TATTOOS

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by deaconred | 2006-02-21 23:00 | Rock(70年代)

SYREETA

新しい時代には新しい音楽が生まれる。
新しい音楽には力が宿る。

そう考えると50年代、60年代、70年代と常に新しい音楽が生まれてきました。
もともと「黒い音楽」が苦手で、つい最近までBluesやSoulを聴かなかったのですが70年代におけるSoulの発展に「音楽的力」を感じてから聴けるようになってきました。
まだまだ体系的に聴けていないSoulですが、最近彼女の声の虜です。
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SYREETA/SYREETA
(1972年作品)

1.I LOVE EVERY LITTLE THING ABOUT YOU
2.BLACK MAYBE
3.KEEP HIM LIKE HE IS
4.HAPPINESS
5.SHE'S LEAVING HOME
6.WHAT LOVE HAS JOINED TOGETHOR
7.HOW MANY DAYS
8.BABY DON'T YOU LET ME LOSE THIS
9.TO KNOW YOU IS TO LOVE YOU

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→SYREETAはSTEVIE WONDERなしには語れないミュージシャンです。
モータウンの秘書であったSYREETAは1971年にSTEVIE WONDERと結婚し、約2年間夫婦として生活してます。離婚後もSYREETAとSTEVIE WONDERは音楽活動上のパートナーとして活動していました。
この時期のSTEVIE WONDERはモータウンからセルフマネージメント権 、クリエーティヴ・フリーダム(創作の自由)の獲得し、1972年に名盤の誉れ高い「MUSIC OF MY MIND」を発売しています。
この「MUSIC OF MY MIND」とこの「SYREETA」は姉妹作品にあたり、二人の蜜月関係がよく分かります。

そんな背景で創られた本作はSTEVIE WONDER色が強く、全ての曲でSTEVIE WONDERが演奏し、9.TO KNOW YOU IS TO LOVE YOUではボーカルも取っています。
参加ミュージシャンも「MUSIC OF MY MIND」とほぼ同じで職人的ギタリストとして敬愛しているBUZZ FEITEN参加が嬉しいです。
SYREETAの声はよくソウル・ファンから線が細くソウルの歌い方ではない!と酷評されていますが、私は癖のない高く透き通った彼女の声が好きです。

1.I LOVE EVERY LITTLE THING ABOUT YOUは「MUSIC OF MY MIND」に収録されているSTEVIE WONDERの名曲。オリジナルとは違うリズムにアレンジしてあります。当時のSTEVIE WONDERはシンセサイザーを大胆に使った音つくりをしていますがこの曲のイントロで使用しているシンセサイザーの音使いには新しい試みを感じます。
全曲非常にクオリティが高い作品でさすが特に素晴らしいのは6.WHAT LOVE HAS JOINED TOGETHORです。
この曲では高音域のストリングスに中・低音のストリングス、さらに彼女の高音に低音のコーラスと幅広い音域での音使いに注目です。もともと弦楽器の響きが好きなのかイントロでのピアノと弦のストリングスにノックアウトです。
さらにこのサウンドをまとめる土台として低音域をシンセサイザーがカバーしているところにも注目です。
こういった新しい試みはセルフマネージメント権あってのことだったのでしょう。俗に言われるSTEVIE WONDERの黄金時代と時をともにしたこの作品はこれからも多くの人に聴かれると思います。

この作品の後、数枚の作品をリリースしたSYREETAですが、近年乳がんが原因でお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。

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by deaconred | 2006-02-20 16:00 | Soul

COLTRANE

自分自身の人格に大きな影響を与えた本というものがいくつかありますが、近年最も影響を受けているのは山本七平氏でその代表作である空気の研究は何度も読み直したいと思う本です。

この本は「空気」に日本人が支配される原因と空気を作り出すメカニズム、さらにその空気を一掃する「水」について書かれています。

私も日本人なので無意識に「空気」に支配されることがあるのでしょうが、音楽を聴く上でも知らず知らずの間に「支配」されてしまうミュージシャンがいます。
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COLTRANE/JOHN COLTRANE
(1962年作品)

JOHN COLTRANE:ts
McCOY TYNER:pf
JIMMY GARRISON:b
ELVIN JONES:ds

1.OUT OF THIS WORLD
2.SOUL EYES
3.THE INCH WORM
4.TONJI
5.MILES' MODE

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→JOHN COLTRANEの音楽には常に畏怖してしまいます。

Jazzという音楽は即興音楽であり、各プレイヤーとの「音の対話」を楽しむ音楽ですが、JOHN COLTRANEとメンバーの間には何か憑依したような緊張感が常に存在し、畏怖してしまうのです。
何かとてつもなく大きな「何か」を前にした気分になり、正座して聴きたくなります。

この作品は所謂「黄金カルテット」によるimpulseレーベル最初の作品で、後に吹き込むJazzの第名盤「BALLADS」や「A LOVE SUPREME(至上の愛)」の影に隠れてしまっていますが、引けをたらないほど素晴らしい作品だと思います。

JOHN COLTRANEに畏怖してしまうのは自己に厳格で常に自己革新しながら音楽に取り組む姿勢がそうさせるのでしょう。MILES DAVISのバンドを麻薬の問題で追い出され、THELONIOUS MONKのバンドで音楽的にも人間的にも成長し、自己のバンドを率いて60年代以降のJazzに大きな功績と影響を与え若くして癌で亡くなるまでの人生はまさに「自己革新」と呼べるものでしょう。
そんなCOLTRANEのプレーに他のメンバーも支配され、impulse以後の作品には常に一定の緊張感があるのでしょう

それにしても黄金カルテットは素晴らしいメンバーです。McCOY TYNERはJOHN COLTRANEの影響を受けたピアニストで独特の和音感性がJOHN COLTRANEの先進的な音楽を支えています。ELVIN JONESは60年代以降のJazzドラムに革命を起こしたミュージシャンで四肢全てに違うリズムを宿すことができる天才。そのスイング感は宙に浮いたような独特な感覚が特徴的です。JIMMY GARRISONはこのカルテット解散後もJOHN COLTRANEを支えた名ベーシストです。

とにかく「黄金時代」の始まりと言う点で重要なこの一枚、私は一生畏怖していると思います。

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by deaconred | 2006-02-16 20:00 | Jazz

COURAGE

自分の「身体」のパーツについて特に思い入れはなく特に強いコンプレックス(?)もないですが、唯一変えられるとしたら声を変えたい・・・とときどき思います。
誰にでも経験はあるでしょうが録音された自分の声ほど衝撃的なものはありません。
なんでも頭の中で響いた音を鼓膜が拾っているので自分の声には格差があるそうです。
うーん・・・頭の中で聴こえる私の声は自分の好きな声なのですが・・・。

音楽の中に溢れる「声」なんて候補に挙げたいものがたくさんありすぎますので最近、お気に入りの「声」をお届けします。

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COURAGE/MILTON NASCIMENTO
(1967年作品)

1.BRIDGES
2.VERA CRUZ
3.TRES PONTAS
4.OUTUBRO
5.COURAGE
6.RIO VERMELHO
7.GIRA GIROU
8.MORRO VELHO
9.CATAVENTO
10.CANCAO DO SOL

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→「ブラジルの声」と言われたMILTON NASCIMENTOの米国進出第1作目。

今回もジャンルのお話からで申し訳ないですが、本質的にMPB(Musica Popular Brasileiraの略で「ブラジル・ポピュラー・ミュージックの略」)とBossaNovaは違う音楽なのでMPBを代表するMILTON NASCIMENTOをBossaNovaに分類するのは間違っているのでしょうが、カテゴリーの分類上ご了承ください。

MILTON NASCIMENTOがブラジルのマイナー・レーベルからデビューして2作目に米国進出できたのはEUMIR DEODATOがCTIレーベルのCREED TAYLORに推挙したことがキッカケです。
CTIからリリースされた本作品は当時専属アレンジャーだったEUMIR DEODATOのアレンジとREED TAYLORの見事なプロデュースによりコンテンポラリーな作品に仕上がっています。
CTIがJazz系のレーベルということもあり、本作品にはHERBIE HANCOCKが参加している点が見逃せません。これほど目立たないHERBIE HANCOCKのプレイが聴けるのもこの作品の魅力です。

さて、MILTON NASCIMENTOと言えば本作品に収録している2.VERA CRUZが有名ですが、それより言及されるべきはポルトガル語で綴られた1.BRIDGESでしょう。
優しいギターのリズムに「ブラジルの声」と言われたMILTON NASCIMENTOの声が重なり、あえて英語ではなく原語のポルトガル語で歌われたこの曲は内向的な曲調でありながら見事にグルーヴし、コーラスではストリングスと高音域の歌声が響きあい非常にクオリティの高い作品です。
作品全体の背景にはブラジル音楽の原型であるChoroやSambaなどの影響が強く、その素材にEUMIR DEODATOのアレンジ、さらにJazz系ミュージシャンの感性が加わりこれほどの作品が完成したのでしょう。

プログレッシブ英和中辞典によると「courage」とは「精神的な勇気」
まさにその名にふさわしい気高い作品です。

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by deaconred | 2006-02-15 14:00 | BossaNova

REPUBLIC

ROCKとは何か?という問いは非常に難しい問いだと思います。
少なくとも「古典音楽の脱却」と言う答えを自分の中では持っていますが、ROCKは20世紀の文化に根を深く伸ばし、純粋に音楽の部分で説明できるものではなくなってしまったのかも知れません。

ROCKを定義する上でひとつ重要になるのがその「精神」でしょう。
その「精神」を音楽的に反映させるかその人の生き方に反映させるかビジュアルに反映させるかはそのスタイルによって規定させるのでしょうがそこになんらかの「精神」を持っている以上、それはROCKと呼べるのだと思います。

ROCKの歴史を紐解くと1960年代後半に勃興したPROGRESSIVE ROCKから1970年代後半に勃興したPUNK ROCKまでに非常に興味があるのですが、どちらの音楽の精神も現代まで引き継がれているように感じます。

PUNK ROCKに影響をうけたこの「バンド」はそんなROCKな精神を宿した音楽を今も続けている数少ないバンドでしょう。

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REPUBLIC/NEW ORDER
(1993年作品)

1.REGRET
2.WORLD
3.RUINED IN A DAY
4.SPOOKY
5.EVERYONE EVERYWHERE
6.YOUNG OFFENDER
7.LIAR
8.CHEMICAL
9.TIMES CHANGE
10.SPECIAL
11.AVALANCHE

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→カテゴリー的はElectoronicaに分類したほうがいいのでは?というぐらいElectoronica色が強いNEW ORDERですが、このバンドは紛れもなくROCKの精神を宿した「バンド」なのでROCKのカテゴリーに分類します。

1980年代を背負ってたつほどのカリスマ性を持ったIAN CURTISを自殺という最悪の形で失ったJOY DIVISIONは「誰かだ抜ければバンド名を改名する」という約束のもと「NEW ORDER」と改名して活動を再開。
大胆な電子音を導入したROCKで80年代のシーンを牽引しました。

この作品は各メンバーのソロ活動が目立って実質的には解散しているのでは?と思われていた時期に突然発表された作品で、改めて彼らがROCKなバンドだ、と再認識できる作品です。

ご存知の通り、NEW ORDERはIAN CURTISの死を引きずり、内向的な内容を歌ってきましたが、この作品でもその路線(?)で作られています。
最初にシングル・カットされた曲は「REGRET」


I would like a place I could call my own
Have a conversation on the telephone
Wake up every day that would be a start
I would not complain of my wounded heart
I was upset you see
Almost all the time
You used to be a stranger
Now you are mine

自分の場所と言えるような所が欲しい
ゆっくりと電話ができるような
毎日目を覚まし一日のスタートを切れるような
傷ついた心について小言をいっているじゃない
ただろうばしいだけさ
殆どの時は以前の君は見知らぬ人だった
今の君は僕のもの


このサビを聴くだけで涙が出てしまいます。
この曲がNEW ORDERだ、と言ってもいいぐらいすばらしい曲ですね。
この曲には引きずる死の影からバンドのメンバーを救う慈愛の英知にあふれ、ROCKの精神にて彼らの感情を吐き出すことでより曲がより高度な次元へ昇華しているように感じます。

これこそ「音楽の力」でしょう。
そしてそんな力に満ちた音楽が1990年代に「REPUBLIC」というタイトルにて発表されることに意味があると感じます。

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by deaconred | 2006-02-10 23:13 | Rock(90年代)

ORANGES&LEMONS

最近は「個性の時代」、「自分らしさ」、「自分探し」と言うような言葉をよく聴くようになりましたが、私にはどうもよく分かりません。
そもそも「人とは違う」と言う事はどういうことなのでしょうね。

表現するという行為に「自分らしさ」が必要ならこのブログには「私らしさ」が必要なのでしょう(苦笑)
うーん、、このブログ、まだ始めたばかりですが「私らしさ」出ているのでしょうか?(笑)

「らしさ」という表現はとても難しいものですが、音楽に関して言えば「英国らしい」ロックやポップスというのは確実に存在すると思います。

「英国らしい」ロック・ミュージックとは?

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ORANGES&LEMONS/XTC
(1989年作品)

1.GARDEN OF EARTHLY DELIGHTS
2.THE MAYER OF SIMPLETON
3.KING FOR A DAY
4.HERE COMES PRESIDENT KILL AGAIN
5.THE LOVING
6.POOR SKELETON STEPS OUT
7.ONE OF THE MILLIONS
8.SCARECROW PEOPLE
9.MERELY A MAN
10.CYNICAL DAYS
11.ACROSS THIS ANTHEAP
12.HOLD ME MY DADDY
13.PINK THING
14.MINIATURE SUN
15.CHALKHILLS AND CHILDREN

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→XTCの音楽を聴けば「英国らしさ」というのがすぐに理解できるでしょう。

なぜ世界における「ロック」が英国と米国のロックを指すのか?という問題は20世紀のロック史を考える上で非常に重要な問題だと思うのですが、両国とも「自国の文化」に基づく音楽をしていたという点では共通していており、そこが世界に通用した要因の一つではないか?と考えています。
すなわち米国における文化とは「大量生産・大量消費」で英国における文化とは「シニシズム」です。

「シニシズム」という視点で英国ロック史を見てみるとTHE BEATLESをはじめ数々のミュージシャンに「シニシズム」を感じます。
そういう点では「英国らしさ」とは「シニシズム」である。と言えるかもしれません。
その変わりやすい天候、貴族階級と労働者階級の格差、英国の文化にはこういった問題を皮肉にて風刺する傾向があり、その文化は英国のロックに深く浸透しています。

XTCはパンクの嵐吹き荒れる1970年代後半にデビューした生粋の英国人ロックバンドで、その独特のひねくれたポップセンスでシーンの先頭を走ってきました。名前が売れて多作なバンドのわりに商業的には成功したとは言えないバンドなのですが、その原因は一般聴衆に愛されたというよりミュージシャンに愛されたという点にあるのではないでしょうか?

XTCの魅力は何と言ってもANDY PARTRIDGEの独特なメロディ美学です。
とにかく「快」と「不快」の境界を行くようなメロディラインはANDY PARTRIDGEにしか書けない!というぐらい独特です。
この独特すぎるメロディを愛したのは一般聴衆ではなく、ミュージシャンであるというのは非常に納得できます。

しかし本物は時代が経っても色あせません。2006年に聴いたXTCは全く輝きを失うことなくシニシズムを放っています。
そして聴けば聴くほどその「快」と「不快」の境界をいくスリルに魅せられていきます。

この「痛気持ちいい」感覚はこのポップなジャケットとともにこれからも愛され続けるでしょう。

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by deaconred | 2006-02-09 23:00 | Rock(80年代)

CD紹介から楽曲紹介に変更してしまっているブログ。


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